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フィル・コリンズの『ワンモアナイト』に封じ込まれた思い出

 

よく、懐かしい曲を聴いて当時の記憶を思い出す、ということがあります。
音楽だけでなく、匂いとか景色とか味とかいろんなパターンがありますが、とくに聴覚と嗅覚を刺激されると昔の懐かしい思い出や感情がより鮮明によみがえるケースが多い気がします。
しかもそれは頭でおぼえている記憶よりもずっと強烈でリアル。

これの特徴は、単に出来事を思い出すだけではなくて、その時の自分の感覚や気持ちまで一緒に再生されること。
ある匂いを嗅いで、ある曲を聴いて、なぜかやけに胸がキュンとしたり、わけもなく泣きそうになったりと、なんだか不思議な感覚に陥ります。

聴覚や嗅覚などの五感を通して刻まれた記憶は、心に訴えかけてくる力がすごく強い。
でもこれはそう度々あることではなく、ごくたまに「あぁ、この感覚は、、、」といった感じで体感する程度なのですが、そんなときはひとしきりその思い出に浸って心ゆくまで懐かしい追憶のひとときに身をゆだねるのがなんとも乙なのであります。

フィル・コリンズの『ワンモアナイト』

高校生のころ、夜寝る前に部屋を暗くしてベッドの中でラジオを聴くのが日課でした。
いちばん好きだったのが、FM横浜で放送していた古谷徹氏の「ダイヤモンドスーパーステーション」。
その日のテーマに沿って、古谷さんの落ち着いたナレーションとともにテーマに沿った曲が流れるという番組でした。

私はよくこの番組をカセットテープで録音し、何度も聴き返していました。
その中でとくに思い出深いのが、フィル・コリンズの『ワンモアナイト』です。

その日の特集は確か「ハワイ」でした。
古谷さんがハワイにちなんだ話を静かな口調でしばし語り、その後曲が流れるという構成で、その日はハワイのダイヤモンドヘッドの話なんかをしていたかな。
昼間の騒々しいハワイではなく、日の沈んだ静かなビーチやホテルのバルコニーから眺める夜景、風とともに耳に届く波音、というような、ロマンチックな雰囲気を想像させる内容でした。
そこで流れたのが、フィル・コリンズの『ワンモアナイト』です。
静かでしっとりとした曲で、聴いているとまるで波に漂っているようにふわふわと夢心地になるようで、私はすっかりこの曲が気に入りその日から何度もリピートして聴いていました。

 

ちょうどそのころ、私の両親が初めての海外旅行でハワイに行ったんです。
両親以上に留守番の私の方が舞い上がってしまい、旅行に必要な買い物など私が率先してリストアップし荷物作りを手伝ったり、ハワイの旅行誌を買ってあれこれリサーチしたり。

出発当日は、両親に旅行を勧めてくれたおばさんと一緒に成田まで見送りに出かけ、両親の乗った飛行機を見送ったあとはそのおばさんに成田空港のレストランでステーキをごちそうになりました。(これもよく憶えている笑)

留守番中もハワイにいる両親のことばかり考えては、白昼夢のように白い砂浜やトロピカルドリンクなどハワイの風景を思い浮かべたり、両親の様子を勝手に想像したりして、ウキウキ過ごしていました。

両親が帰ってくると、さっそくお土産をもらいました。
ハワイのレイ、マカデミアナッツチョコレート、水色のムームー(ハワイアンドレス)、キャンドル。
どれもはっきり憶えています。

水色のムームーは、ふんわりした袖が特徴の足首まで隠れる長い丈のドレスで、白いハワイ柄があちこちにプリントされていました。
私はとっても気に入って毎日のようにお風呂上りに着ていました。

キャンドルは高さが20センチくらい、直径も6~7センチで、どっしり重かったです。
ブルーとピンクの色がマーブル状に混ざっていてとても綺麗で、使ってしまうのがもったいなくずっとそのままとってありました。

当時まだハワイに行ったことのなかった私は、その水色のムームーとキャンドルがすっかりハワイの象徴になりました。
そこへタイミングよく古谷さんの番組でハワイ特集を放送したもので、私の中に大々的にハワイブームが訪れ、未踏の地であるハワイに強い憧れを抱くことに。

その後、大人になって実際に友人と3人でハワイに行くんですけど、私の頭の中に広がったハワイへの妄想のおかげで、実際のハワイが多少かすんでしまったのはちょっと残念でした…。
期待が大き過ぎたというやつです。

『ワンモアナイト』を聴くと今でも、当時のハワイに対する自分のフィーバーぶりが思い起こされます。
友人といったハワイ旅行の記憶よりも、あの水色のムームーとゴツいキャンドルが目に浮かんでくるんですよね。

 

ハワイに憧れた私の高校時代。
ラジオの影響か洋楽かぶれになり、部屋には外国人アーティストのCDしかありませんでした。
映画も洋画ばかり見て、米軍基地のお祭りに遊びにいったり英会話教室に通ったり。

おかげで自分の結婚式では、そのハワイに一緒に旅行へいった友人のスピーチで、「歩子ちゃんは高校生のとき、『私はいつか外国人と結婚して青い目の子どもを生むんだ』と言ってましたが、今日は素敵な日本人の〇〇さん(←オット)の隣でとてもお似合いで、云々かんぬん……」などと親戚一同の前で言われてしまいました…笑

 

最近、偶然『ワンモアナイト』を聴く機会があり、あの日々を思い出したので、ブログに書いてみました。

それではまた。

 

15+

POSTED COMMENT

  1. ヒロリン より:

    こんばんは~~歩子さん~

    洋楽の話題も嬉しいです\(^-^)/
    私がロックが好きになったきっかけは洋楽でした
    ご存知でしょうか、ベィシティローラーズから始まり映画で再燃したクイーン、シカゴ、ジャーニーetc.80年代はそうそうたるグループ、マイケルジャクソン、クリストファークロスも大好きでアメリカ西海岸かぶれしていました(*^^*)
    イギリスロックも大好きでしたし(^з^)-☆
    学生時代はアメリカに語学研修を経験したり卒業旅行には友人と三人でハワイへ行きました(^-^)/
    アメリカのラジオを聞くのが大好きでテープに録音して日本に帰ってもよく聞いていました
    同級生が西海岸に留学しているところへ遊びに行ったり、西海岸のDJの流れるような英語で曲を紹介して洋楽が流れて海を感じる爽やかな気分になりました
    ハワイのDJもサーフィンが目に浮かぶような素敵なラジオでした❣️今も変わらないのかな~⁉️
    ポップスも聞いていたのでフィルコリンズのワンモアナイトも聞いていました懐かしいです~

    テニスも大好きです\(^-^)/
    紳士たるフェデラーのファンです(^-^)
    錦織さんも応援しています
    東京オリンピックで観戦出来たら夢のようですね~

    令和になりました。
    平成のうちにPAOが届くように期待しましたがまだです(>.<)

    1+
    • 歩子 より:

      ヒロリンさん。

      おお、ヒロリンさんも洋楽派でしたか!
      すごい幅広く聴かれていたんですね~
      私は当時はあまり音楽ジャンルのことはよくわかっていなかったですが、今思えばポップス寄りだったのかなぁ。
      パッと出てくるのはスティービーワンダー、ジャネットジャクソン、ジョージマイケル、ジョンレノン、グロリアエステファン、マドンナとか、あとデビッドボウイにはかなりハマってファンレター出したりしてました(笑)
      バンドはあまり聴いてなかったですが、ローリングストーンズはなんかのアルバムを持ってましたね。
      ボブディランも好きでした。
      西海岸、憧れたな~
      洋画も大好きだったので、ロサンゼルスのハリウッドやビバリーヒルズには並々ならぬ興味が^^
      でも、いまだアメリカ本土には行ったことがないんですけどね

      テニスも!
      うれしいな^^
      オリンピックでは何が何でもチケットを手に入れて名選手の試合を生で見たいです♪
      PAOはようやく昨日届きました^^;

      0
  2. ボン より:

    歩子さんの思い出話がかわいい(^^)
    音楽でその当時のことを強烈に思い出すときありますよね!
    友達と行ったハワイを負かす歩子さんの中のハワイはは、一体どんな世界だったのでしょう?
    そして日本人が相手でも突然変異で、青い瞳のハーフの赤ちゃんが産まれないかなって思ったことならありますよ…

    私はふざけた性格してるのですが、暗いと言われる歌や湿っぽい歌謡曲が好きで聞き込んでいました。
    なので思い出しソングはそんなものばかりで、歩子さんのはオシャレな感じでかわいくてズルーい(笑)

    1+
    • 歩子 より:

      ボンさん。

      私の中のハワイ、フィルコリンズの曲のロマンチックな感じと楽園のイメージとが合わさって、もう天国みたいな場所を想像していたのかもです(笑)
      ハーフの赤ちゃんのあの愛らしさ。。ほんと天使ですよね。
      でも、日本人の赤ちゃんも天使だってことに大人になって気付きました^^
      子ども好きじゃなかったのに、自分が出産したら赤ちゃん大好きになって、年をとっても新生児と触れ合える助産師の仕事に憧れて。

      暗い湿っぽい歌謡曲、めっちゃ好きですよ
      でもちょっとオシャレな思い出話なぞをしてみたくなっちゃって(笑)
      今は洋楽ぜんぜん聴かずにエレカシばっかりです♪

      0
  3. みやもん より:

    人生二度目のiTunes購入曲、そう、言うまでもない「しばられるな…」を聴きながら、歩子さんのこちらのブログにお邪魔しています。なんて可愛らしいステキな思い出でしょう♪ ほんとですね。五感で刻んだ記憶って強烈なものがありますよねー。音楽でいろいろな場面を思い出すことももちろんですが、匂い、香りの思い出って格別にキュンとしますよね。20代前半に大恋愛のすえに大失恋をしたことがあるのですが、まぁ、恋愛に大が付くくらいだから必然的に失恋も「大」になるわけですが(笑)
    その時の彼のつけていた香水(かなんか知らんけど)と同じ香りとすれ違うと、パタパタパタっと時間が逆戻りし、なんとも言えない気持ちになったものです。そのあと、その時の音楽が蘇ったりして。さすがに今はそんな瞬間はあまりなく、あっても昔ほど痛くないというか、軽〜く懐かしむことができる年齢になりました。ちなみに同時に思い出す曲と言うのが「踊るポンポコリン」だったりするので、歩子さんと違ってオシャレ感ゼロです(笑)
    素敵なブログありがとうございました(^.^)

    1+
    • 歩子 より:

      みやもんさん。

      人生2度目の…(笑)
      これからもいろんな「人生初」を体験することになるかもですね^^
      記憶っていろんな形で刻まれるんですね~
      とくにそう、匂いと記憶が結びつくと強烈ですよね
      はっきりとした出来事が思い出せなくても、ざわざわ胸が騒ぐ感じがあって
      香水の匂いならなおさら強く記憶が呼び覚まされそう
      「踊るポンポコリン」とは、意表を突かれました(笑)
      その殿方とのどんなスイートな思い出が「踊るポンポコリン」に封じ込まれているのかなぁ✨
      けっこうピンポイントな思い出だったりしますよね
      この年になると思い出の数も膨大で、、、、最近のことはすぐ忘れちゃうのにな~^^;

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